西澤邸探訪記（1997.12）　

ヨットレース報告　

寺内町・今井（1994.2）　

嗚呼！痛恨の２０ｍ…
３月１７日（日）は徳島ヨットクラブのレース、白龍・八万杯があった。
このレースは、クラブ創設を提唱した白龍のオーナー岸路さんと、八万�Uオーナーでヨットクラブ初代会長山内さんの遺徳を偲び、28年前から開催されている歴史あるレース。お二人共亡くなられたのが２月なので翌月の３月に追悼レースを行なうもので、スタート直前10分前には参加９艇が海に献花、５分前には御酒を捧げる神聖なレースなのである。

　コースは一文字南の灯台から阿南市中林沖の仲津島を回ってくるもの。NIKEは亀さんが本日の勝負に賭けて、船の底こすりを依頼し、おまけにギャル乗船禁止令を出すという意気込み（愚挙）で臨んだ。
　メンバーはカメさん、Louis、野村ｺｰちゃん、それにｺｰちゃんの昔乗ってたベルバラ仲間林ﾏｻﾋｺさん、そしてウライスの十川さんのﾍﾙﾑｽという強力な布陣で勝負に。

　穏やかな天候に恵まれ、９時のスタート時は微風の追い風で各艇スピンスタートとなった。NIKEはなかなかの好位置で沖寄りのコースへ、しかし風は吹いたりやんだりでなかなか進まない。じっと我慢の時間が流れすこしづつNIKEは他艇を離すが、風はじっとはしてくれない。吹いたり止んだり向きを変えたり。その中、岸寄りのコースを取り遅れていたクレージーﾅﾅがするすると船足をつけて抜け出しているのが双眼鏡で遠くに見えた。和田の鼻を越えて少し風が安定して吹きだした頃にはNIKEはいつものように６番目のくらい、このままの順位で仲津島を回航したが、この時のコース取りが功を奏し順位を上げて５番目に浮上。そのままの順位でゴールへと向かう。しかし風は息切れが激しく、長続きして吹いてくれない。この日のタイムリミットは３時。小松島港沖に来たときは残り１時間
しかない。ここでまた吹いたり止んだりで気を揉ませてくれる。３０分前にカメさんは「もうエンジン掛けよう」などと戯言を言い出す始末。
　しかし、勝負は水物、終わってみなければ分からない。これまでどれだけ土壇場でのドラマを見せつけられてきたことか。他のメンバーは歴戦の本物ヨットマンばかり、誰も最後まで諦めない。しかし、もう目の前にゴールが来たときバッタリと風は止み、風見は所在なく、くるくると目指す方向を探して彷徨うだけである。ここに諦めてエンジンで帰ってきた飛翔が意地悪にも横で漂白し、NIKEのゴールを見届けるのである。じりじりとする気持ちをあざ笑うように風は沈黙し、残り５分がほんの一瞬のうちに過ぎ去り、３時が来てしまった。ゴールまであと２０ｍであった。
嗚呼、なんと遠い２０ｍであったことか。残念であった。飛翔はNIKEに負けるはずが、同等のDNF（do not finishの事）となり喜んでいた。
NIKEの前艇は２時５０分頃ゴール。４艇がフィニッシュし、５艇がDNFだった。優勝は昨年最多した常勝のクレージーナナ。しかし今年に入っての１・２月は惨敗だっただけに名誉挽回を果たす。

　NIKEが今回負けた私の結論はやはり幸運の女神を乗せなかったことに敗因があると思っている。その前にお勉強と練習という基礎体力を付けることが一番ではあるが…。さて、アフターパーティーは鰹のタタキとちらし寿司で県庁の（移動の季節に咲く転勤桜とか言われている）桜の下で行ったが、残念ながら今年の開花は早く、ほとんど散ってしまった後であった。さて、次回は女神さんに乗船してもらおう。

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